腰痛(内科編)

今回は腰痛(内科編)です。

腰痛と言っても必ずしも骨や筋肉が原因とは限りません。
内科から来る場合も少なくないのです。

全てを挙げるとかなりの長文になってしまいますので、いくつか過去の例をご紹介します。

まず、よくある原因の一つに便秘があります。

慢性的に便秘がある場合は便秘治療とセットで行う方が腰痛の治りは早いです。

他にはなかなか治らない咳も腰痛を治りにくくしてる原因の一つです。

を長引かせると、咳をする度にお腹と腰の筋肉を収縮させてしまい、腰痛が慢性化しますので咳治療とセットで治療する方が効果的です。

しかし、内科から来る腰痛でも鍼治療では難しい場合もあります。

当院の過去28年間の症例の中からいくつかご紹介致します。



【アルコール性末梢神経障害】

この中高年の男性は毎日ウイスキー角瓶を一本飲みます。
毎日です!
その結果、手足の痺れが酷く感覚が無くなっている状態。
アルコールをやめるように言ってもやめてくれません。
鍼灸治療の効果は芳しくなく、患者さんは整形外科へ行きました。しかし整形外科ではアルコール性末梢神経障害とは診断されず原因は頸椎と考え、手術を勧められオペしましたが当然何も改善はしませんでした。
(頚椎は関係ないのになぜ手術…。)
その後、当院へも来なくなり男性の奥さんが言うには、未だにお酒はやめられず症状は更に悪化してるとのことでした。


【卵巣嚢腫からの腰痛】

中年の女性が腰痛で来院。
整形外科には受診済み。
まず問診をしましたが何か普通の腰痛と違いおかしいと感じ、腹診をしたところ、下腹部に大きな塊を発見しました。
本人に聞いたら内科には受診済みで卵巣嚢腫で手術が必要と言われたそうです。
しかし女性はそれを拒否。
私は患者さんに『今の腰の痛みの最低でも50%は卵巣嚢腫から来ています。絶対に手術をした方がいいですよ』と言いましたが女性は拒否。
1週間後来院。
相変わらず病院へは行かず。
私も強く手術を勧める。
更に1週間後の予約の数日前に『先生、やっぱり病院へ行くことにしましたので予約をキャンセルしてもいいですか?』と電話がかかってきましたので、
『うちの治療なんかいいからそうして下さい』と言いました。
その後、数ヶ月くらいして女性からお手紙を頂きました。

『先生、手術は無事に終わり、術後の経過もいいです。
しかもあの辛かった腰の痛みが、術後まるっきり消えてしまいました!
手術をして本当に良かったです。
私の背中を押してくれてありがとう!』

よかったよかった!


【進行の遅い脳内出血】

中高年の男性。
ギックリ腰で来院。
ギックリ腰自体はすぐ治ったのですが、男性が『先生、左の指がつれるんだよね。』
他につれるところはありますかと聞くと
『左足もつれる』
いつからか聞くと半年以上前からとのこと。
脳疾患にしてはゆっくりだなと思いましたが、私ができる範囲で脳疾患のテストをしたところ陽性!
すぐに脳の検査を勧めました。

『たぶんお医者さんは頚椎と腰椎のCTを撮る(MRIがない時代)と思うので、絶対に脳のCTを撮るように言ってください』と言いました。
それから半年くらい経ちましたか?
どうしたか気になってましたが、
ある日突然男性が来院され、

『いやー散々な目にあったよ。病院に行ったらやっぱり首と腰しか撮らないから、
先生に言われたとおりに、脳を撮ってくれと言ったら、医者は「脳を撮っても何も出てきませんよ」って言われたけど強くお願いしたら、脳の中心に出血が見つかりしかもガンマーナイフが使えない場所ですって言われた。
結局、薬で出血を止めてその後は毎日リハビリ。
少し足に障害は残ってしまったけど、孫とも走れるし良かったよ。
見つけてくれてありがとう!』

よかったよかった!


数例を挙げましたが、腰痛も奥が深いです。

他にもが潜んでいる場合もあるし、泌尿器科も潜んでいることもありましたし、多角的に注意深く診ていかないと思わぬ落とし穴があると思いました。

以上、腰痛【内科編】でした。

次回をお楽しみ!