胃腸と認知症の関係


多田鍼療院に来院される高齢者の多くの方が、自分が将来認知症になるんじゃないかと不安を抱え、その予防をリクエストしてきます。

今回は予防法ではなく、ある軽い認知症の患者さんのお話しです。

この患者さんは軽度の認知症でしたが、ある日、何年も通い慣れた当院までの道のりを迷ってしまい、別の病院へ行ってしまったのです。

それも2週続けて。

少しずつ認知症が進んでいる気はしていたのですが、本人の強い訴えの腰痛などがメインだったので、認知症の方は特に治療をしていませんでした。

ただ、これ以上悪化して徘徊するようになってしまうと本人はもちろんのこと、ご家族も日常生活が大変なことになってしまうと思い、認知症治療を集中して行なってみました。

その時の治療は通常の認知症の予防治療ではなく、“胃腸の治療”です。(特に腸!)

最近、脳と腸の関係が西洋医学でも言われてきていますが、「胃腸の調子を整えたら認知症も改善するかも?」と思い治療をしてみました。

結果は…。
あれから一年半以上経つのですが、一度も道に迷うようなことは無くなりました!

しかも、いつもは治療中、だいたい同じような話の繰り返しなのですが、胃腸の治療を念入りにした時は、新しい話をされることが多くなったのです。

認知症は明らかに少しずつですが改善してきていますが、それ以上に徘徊を免れたことがご本人とその家族の将来を思うと、とても大きかったと思います。

腰痛の方も認知症の影響で脳が痛みをコントロール出来ず、痛みを強く出していると考え、脳の扁桃体が過剰に働く状態を鎮静化させる治療をメインに行なったところ、予想通り痛みが改善されました。

東洋医学では二千年以上前から、免疫力と関係の深い胃腸をとても重要視してきています。

皆さんも今日から胃腸を労わる生活を心がけてください。